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1)ホメオパシーを知る前に薬剤師として悩んでいたことはありましたか?

『症状は抑えても、実際に治してはいない』(五鬼上)

私が感じていたのは、薬は症状を抑えることはできるけれども、実際に治してはいないということでした。 特に慢性疾患の患者さんにはよく聞かれるんです。
「この薬は一生飲まなければいけないんですか?」って。それに対してどうお答えすればいいのか困ることがよくありました。
それから薬の副作用があると、それを抑えるために別の薬が追加されて、またその薬で副作用が出て、さらに別の薬が追加されることがよくあるんですが、一番最初の薬はやめたり変更することはできなかったのかなと思っても、医師にはなかなか言えないジレンマがあって、苦しさを感じることもよくありましたね。

『はたして薬剤によって病気は治るのか?』(徳武)

大学病院の薬剤部に勤めていた時に、病棟業務で婦人科の癌の患者さんに関わっていたのですが、抗がん剤を打つほどに弱って食欲が落ち、元気がなくなり、亡くなっていく。
抗がん剤って本当に効いているのかな?と思ってしまって。
その他にも、薬剤を使うほど抜けられなくなっていく・・・ステロイドも抗アレルギー薬も、それがないと症状を乗り切れなくなる、そういう人達をたくさん見てしまい、本当に薬剤で病気は治るのか?と疑問を感じてしまったんですね。現代医学には限界があると思いつつも、じゃあどうすればいいのか??わからなくて悶々としていましたね。

『薬剤師の役割って本当は何だろう?』(成松)

私が薬剤師として病院に入ったときは、薬剤師が病棟に出ていくようになって病院薬剤師の仕事が大きく変わった時期だったんです。特にコンプライアンスの悪い(服薬指示を守らない)患者さんに「この人がちゃんと薬を飲むように指導してください」という依頼が入るんですけど、なんで「コンプライアンスが悪い」のかというところに、その人の人生の大切な何かがあったりして、そういうお話をお聴きすることもありました。でも薬剤師って、大学で身体と薬とのことは学ぶけど、人の心については何も学んできていない。そういう中で、「薬剤師の役割って本当は何だろう?」という疑問が湧いてきていました。
それと、五鬼上さんも徳武さんもおっしゃったように、「治る」薬というのがないんですよね。私は治験薬の部署に所属していたのですが、治験薬って、すごいお金とたくさんの動物達を実験に使って出来てくるのに、それでその病気が治るの?というと、そうではなくて、ちょっと症状を抑えるとか進行を遅らせる程度で、副作用もあり、副作用となんとか付き合いつつ一生飲んでいかないといけない。そういう薬ばかりで、何かもっと良いものはないかと、漢方とかアロマとか、心理療法の勉強をしたりしていました。

2)初めてホメオパシーを知ったときに最初に思ったことは何でしたか?

『薬を使えない妊婦さんや赤ちゃんにも使えるなんて』(五鬼上)

まずシンプルに副作用がないっていうところですね。副作用がないから、薬を使えない妊婦さんや赤ちゃんに使えるなんてすごい!それはどうして? と思ったのと、あとは1個のレメディーですべてが改善されるというところでしたね。ものすごくたくさん薬をのんでいる患者さんをいっぱい知っていたので、そのふたつはすごく衝撃的だったのを覚えています。

『数ある症状それぞれに対しての処方ではなく、全体に対する処方』(徳武)

五鬼上さんと重なりますが、薬学だと1つの症状に対して1つの薬剤、5個症状があったら5種類の薬剤を処方するのが普通という感覚になっちゃうんですけど、ホメオパシーでは患者さんの全体を見てレメディーを選んでいくと、結果的に1つですべての症状をカバーできるっていうのが衝撃的でした(笑)

成松:最初に「怪しい」とか思いませんでした?

徳武:思いました。薄めるほど効果があるって何?分子が1つも残っていないほど薄めていってどういうお薬になるんだろう??よくわからないなあと。

成松:それが怪しくなくなったのは?

『心のもやもやが晴れていく』(徳武)

何で?でしょうね(笑)大学病院の同僚だった成松さんに誘われて、最初はホメオパシー入門講座に出ました。そこでレメディーはどんな物質から、どのように作られているかという理屈を一通り勉強したんですけれども、その時にさっぱりわからなくて(笑)
2回目の機会がそれから1年ちょっと後だったと思いますが、永松先生のセミナーに行って、理屈的な話は一切なく確か・・・そもそも病気とは何なのか?人間は病とどう関わっているのか?というような大きなお話でした。
それを聞いた時にはなにか、さっきお話したモヤモヤが晴れていく気がして、私が知りたかったのは、そう!こういうことなの!もっと知りたい!って。その時の私にとっては、怪しいか?怪しくないか?は、たいして重要ではなかったのでしょうね。

成松:五鬼上さんは「怪しい」って思いませんでした?

『30年以上患っていた症状が消えた時』(五鬼上)

最初は詳しいことを知らなかったので怪しいとか感じなかったんです。学校に入ってからの方が怪しさを感じながら、やっぱり信じがたい想いがどこかに残ったままで、モヤモヤ感を持ちながら勉強していた感じです。(笑)でも、そのうちに実際によくなった人に会うことが増えて、最終的にその怪しさがきれいに晴れたのは、実習でクライアントさんを診た時でした。30年以上患っていた症状で、どんな治療をしてもだめだった人が、すごく嬉しそうに症状が消えたことを報告してくれたんですね。その時「もう物質があるとかないとかは関係ない!!」って思いました。

成松:じゃあ3年生で実習するまで怪しんでいた(笑)?

五鬼上:どこかで疑いが晴れていなかったんですね。よくそれで続いたと思います。(笑)

『もしこれが本当だったらすごいことじゃないかと、自分で確かめてみたくなった』
(成松)

私はカウンセリングの雑誌をとっていたとき、その中にホメオパシーの連載ページがあったんですけど、その時は「ハァ?」という感じで(笑)。
心の問題が解けたら同時に体の問題もなくなっていくという、そういうことがあるという事例は知っていたので、ホメオパシーは2時間もかけて問診しているので、これはカウンセリングの効果とプラセボ効果でしょ?と思ったんです、当然。成分がないのに、それが効くなんて馬鹿げた話…みたいな感じだったんですけど。
そんな時、ある内科医の方とお話しする機会があって、彼はとても真面目で誠実な先生なんですけど、「僕はホメオパシーというのを勉強していて、不思議とこれが効くんですよね」と仰るので、「エー?効くんですか??」って(笑)
その方からいただいたホメオパシーの本を読んだら、すごく真面目に調査して書かれていて、たくさん事例も載っていて、もしこれが本当だったら、成分がないということは体に全然負担がかからないので薬害もないし、これが本当に効くんだったら、すごいことじゃないかと思って、自分で確かめてみたくなったんです。

3)本格的に学ぼうと思ったのはなぜですか?4年間もの時間とお金をかけて。

『薬よりもいいものがここにはあるかもしれない』(五鬼上)

この学校に入る前、アロマセラピーなどの代替医療を教えているところでホメオパシーのセルフケアコースを受けていたんです。そこで色んな事例をお聞きして、あーすごいことが起こるんだなと思って。レメディーを買って飼っているネコにあげてみたり、本を見ながら色々試してみたりして。それで、効いたり効かなかったりで確証が得られないんだけど、でもヨーロッパでは200年も続いていて、代替医療の中でもホメオパシーが一番の雄というのを本で読んで、それなりに勉強をする価値があるんだろうと思って入りました。私の場合は薬剤師をやっていても疑問に思うことが多かったので、薬よりもいいものがここにはあるかもしれない、という期待もありました。

『くすりで人の役に立ちたい』(徳武)

さっきの続きになりますけど、永松先生のセミナーに出た後もっと知りたくなって、あまり深く考えずに入っちゃったっていう(笑)
そもそもなぜ薬剤師になったかと言えば、おじいちゃんの影響が大きいですね。田舎のおじいちゃんがお小遣い稼ぎに、ドクダミやゲンノショウコといった薬草を採って乾燥させ工場に卸していました。それを子供の頃から見ていて、「将来は、薬の勉強をして人の役に立ちたい」と思っていたんです。でも夢叶って薬剤師として働きだしてもなんだか釈然としなかった・・
大学病院で働きつつ、食養生の勉強に通ったり、カウンセリングや漢方のセミナーに出てみたりとか、いろいろ手をつけましたね。でもどれもウーンっていう感じで(笑)。どれも良いんだけど本格的にやりたい気持ちにはならなかったんですよ。ところが永松先生のホメオパシーには、直感的にこれ!という魅力がありました。

『レメディーって夢のような薬』(成松)

レメディーって夢のような薬じゃないですか。それまで扱っていた薬は必ず副作用があるし、腎臓や肝臓にも負担がかかる。でも他に方法がないから、何とか害があまり出ないように工夫するしかない世界にいたので、そういう危険な要素がまったくなくて、ちゃんと治るというのはすごいんじゃないかって。
心理療法で病気がかなり良くなったとか、そういう方もいらっしゃるんですけど、そこまでいくにはすごく大変なんですよね。時間もかかるし、カウンセラーも患者さんもとても大変なことがあるんですけど、小さな一粒を選んで「ハイ」とあげるだけで、それが一気にできてしまうなんて、そんなものが本当にあるんだったら、すごくいいんじゃないかという惹かれるものがあったんですね。
それで、はじめは自宅学習キットでちょっと勉強してみようかなと思って、事務局の方と話していたら、永松学長がそこにいらして、「成松さんはそれじゃなくて、入学されたらいいと思います。その方が向いていると思いますよ。」って(一同爆笑)。
その時は4年コースに入学するなんて、お金も結構かかるし全然考えていなかったので「えー?」と思ったんですけど、「ちょうど週末に授業だから」とか言われて(笑)。家に帰って一応3日ぐらい悩んで、主人に話したら「じゃあ行けば」と言ってくれたので決まりました。

4)ホメオパシーを本格的に学び始めたころはどうでしたか?
薬剤師であることと矛盾を感じたりはしませんでしたか。

『最初の頃は何の役に立つのか全然わからなかった』(五鬼上)

私はホメオパシーの学校で何を学ぶのかっていう前知識がないままに入って、薬剤師の感覚でレメディーの薬効みたいな授業をやるのかと思っていたんです。各レメディーはどういう人にどういう風に効いて、どういうものに使いますっていうお勉強をするところだと思っていたんですね。でも1年生の時はそういう授業が少なくて。今思うと人間を理解するための授業に時間もたっぷりとられていて、なぜ今この話?って思うような授業がすごく多かったんですね。
お勉強っていう感じじゃなくて、「最近考えていることを話してください」とか、何か映像を観て「感想を言ってください」とかそういうことが多くてそれはそれで楽しいんです。でも、これでいいのかな?ていう気持ちも同時にあって、今やっていることが何の役に立つのかが最初のうちは全然わからなかった。でもそれがだんだん積み重なっていくと、「あ、これとこれが繋がって、自分の人生のここと繋がっている」とか、自分の人生と繋がってくるから、周りの人の人生を理解することとも繋がってくる。そしてクライアントさんを理解することにも繋がってくるというのがわかってきて、そのうちに矛盾とかは感じなくなったんですけど。最初の頃は何でこの授業なのかがわからないって思いながら通っていましたね。

『制限がある薬剤師の仕事をする中で』(徳武)

私は学校に入った後に職を変えて、町の調剤薬局に出たんですけど、やっぱり病院と同じですよね。血圧にしろ糖尿病にしろ、ずーっと何年も薬剤を飲まないといけなくなっちゃって治らない。
学校に入って2~3年間は、私何やっているんだろう、こんなに薬剤を飲んでも抑えているだけだし、抑えるほど治りにくくなるのに・・・と思ってましたね。この患者さん、ホメオパシーの処方をしてあげたらいいだろうな・・とつい考えてしまったり。
薬剤師ってちょっと制限がある仕事だと思うんですよ。医師の書いた処方箋通りに作り、きっちり飲ませるというのが、今の世の中での薬剤師の仕事になっちゃっているので、そこからはみ出ることができないジレンマもありました。
ただ私はそうは言っても、この世の中そんなに簡単に変わることはできないじゃないかっていう想いもあったんですよね。やっぱり症状が出ると、まず医者にかかって、検査して、薬剤が処方になって・・・という流れが一般的なので。
在学中は、矛盾は感じていつつ、対立するものではないんじゃないか、希望はあるんじゃないかっていうところでギリギリ自分を保っていたというのが正直なところですね。

『オルガノン第一章。あれにすごいショックを受けたんです』(成松)

最初のころの授業でオルガノン第1章をやるじゃないですか。私はあれにすごいショックを受けたんですよ。
§1:医師の唯一にして最高の使命は、病める人の健康を回復させることである。それが「治療」というものである。
(注)しかしながら、医師本来の使命は、生命の営みの内的本性と目に見えない身体内部における病気の発生について、いたずらに空想したり、仮説をいわゆる学説へと作り上げたりすることではない。

それを読んだとき、今まで自分が大事だと思っていたのは、ちょっと違ったんじゃないかと。病気がどうやって作られるか、例えば、何かの蛋白質が異常に増えることで、ある病気が作られるのだからその蛋白質を作る酵素を阻害する薬を作ればいいはずだという、そういう世界にいて、そういうメカニズムがわかっていることが大事のような気がしていたと思うんです。でもこの文を読んでガーン!ときたんですよね。
さらに「人々を無駄話で煙に巻くことをきっぱりやめ、今こそまさに、真の医療を開始し行動を起こすときである。」この第1章のインパクトがすごく大きくて。

『今まで私は何をやっていたんだろう?薬理学の本を読み返した』(成松)

それと、薬によって症状を抑えることによって病が進行していくことを200年も前に指摘されていることにもショックを受けて。今まで私は何をやっていたんだろう?と、家に帰ってから薬理学の本を読み返したんです。
読み返してみると薬理学自体は何も間違っていないんですよね。じゃあ何のためにその知識を身につけたのかなと考えると、やっぱり患者さんを薬の害から守るためなんだろうなと思って。
薬剤師はそのために薬の知識を4年間かけて身につけてきたわけで、その観点で言えば、何も矛盾しないんだということに行きついたんです。現実に起こってしまっている薬害とか色々はあるけれども、本来の医療とか、薬剤師がいる意味というものを考えると、そこはホメオパシーと何も矛盾しないんだろうなと、悩んだ末に行きついて、それからはホメオパシーの勉強がただ楽しくて続けていました。

5)薬学を学んだうえでホメオパシーを学ぶというのはどうですか?
楽とか、難しいということはありましたか?

『部分で見る癖があって、全体から観ていく感覚になるには時間がかかった』
(五鬼上)

多分、他の人に比べると障害というか邪魔になっていたことは、部分で見る癖。例えば猫が吐いていたら、吐いている症状に対するレメディーはどれか?をまず見てしまって、どんな子なのかっていうのは後回しになるんですよね。ホメオパシーで大事なのは全体的な特徴を見ることなんですが、どうしても症状だけをみるという癖があって、全体から観ていく感覚になるには時間がかかったと思いますね。
良かったことは、薬の知識があると、今出ている症状が何から来ているのか、薬の副作用が症状のように見えているのかとか、ある程度は判断ができるので、そういう部分を差し引いてみられるのは良かったと思いますね。

『レメディーの原物質の知識を持っていると』(徳武)

楽しい部分としては・・・ハーネマンの時代に、よく医療で使われていたものがレメディーの原物質になっていますが、その原物質の知識を薬剤師は持っているんですよね。例えばアコナイトはトリカブトだったり、ベラドンナはアトロピンだったりとか。薬剤とか漢方で使われている植物とレメディーの関係っていうところから考えていくと楽しいですね。トリカブトってこんな花だけど、レメディーになるとこんな症状像を持っているんだな~とか、繋げて考えると理解しやすいとは思います。難しいっていうのは思いつかなかったんですけれど。

『単なる薬学の知識だったものに手足が生えて立ち上がって歩きはじめる』(成松)

私も徳武さんと同じで、薬学として学んできた、例えばナス科のアトロピンとかスコポラミンとかをベラドンナ等のレメディーとして学ぶというのは、すごく楽しいことですね。薬学で学んだ身体レベルの作用は知っていたけど、ホメオパシーではそれがもっと詳細に調べられていて、心があって。どういうものが好きで、どういうものを怖がったり、どういう夢を見たりとか…単なる薬学の知識だったものに手足が生えて人物像が立ち上がって歩きはじめる。それがすごくワクワクする楽しいことだなと思うんですよね。
周期律表もすごい面白いと思いません?(一同うなずく)周期律表がこんなに壮大な物語だったなんて!と未だに感動しています。この前、鉄シリーズ(第4周期)の銅(キュプラム)の授業を2年生にしたんですけど、授業しながら「本当に面白いですよね!」って(笑)。マテリアメディカの勉強は、すごい楽しいと思うんです。
難しいことは、五鬼上さんも仰ったように、どうしても部分でみる癖がついていたとろで、セルフケアの生徒さんからご質問いただくときも、現代医療的な見方が染みついている医療職の方はどうしても部分で見る癖があって、全体はどうなの?って(笑)「全体的にはどうなのですか?」とお聞きするんですけど、やっぱり全体を見る癖がなかなかつかない。でも意識すればすぐに大丈夫になって、全体とつながるということはすごく楽しいことですよね。

6)現代医学とホメオパシーは相容れるのでしょうか。

『お互いにできないことを補い合えれば』(五鬼上)

どちらにも弱点もあるし利点もあるし、お互いにできないことを補い合えれば理想的だなあと思うんです。薬剤師をやっていると現代医学のできないことばかりを見ている感じがしていて、ホメオパシーを勉強した薬剤師さんは皆さんホメオパシーの方にできることが沢山あるっていう感覚になるんじゃないかなあと思いますけれども、ホメオパシーにできないこともあるし、現代医学でないとできないことっていうのも確実にあって、それは命を救う救命医療とかは、本当に大切な部分でそこは忘れちゃいけないなあと思いますね。

『世界的な視点で見ると・・・』(徳武)

五鬼上さんのお話と重なりますね。本来は相容れるものだと思うんですが、今の日本の治療の構成っていうのを見ていると上下の関係がありますね。・・現代医学が大きくデーンとあって、その他諸々の療法がホメオパシーだの漢方だのアロマだのっていうのがその足元にちょこっとある。
現代医学に限界を感じている医師もいるんだと思うんですよね。だったら現代医学とその他の療法が「じゃあこういう方法もあるよ、こういう方法もあるよ。」っていうふうに手を取り合っていけたらと思うんですが、今は難しいですね。他の療法はたいてい否定されてしまいます。
患者さんの治癒にとって大事なのは、何が欠けているかっていうのを見てあげることだと思うんですね。栄養バランスが悪い方だったら健康食品を飲むのもよいし、骨格の歪みがある方だったら整体するのもいいかもしれないし。トータルで患者さんを見れる人っていうのは医師であるべきなんですが、そこがまだブロックがあるのでなかなか進んでいかない。
ところで先日、イギリスの医師でありホメオパスであるカプラン先生のセミナーで、お話をきいてビックリしたんです。イギリスではホメオパシーは盛んですが、アートセラピストって3年みっちり訓練を積んだ方がやっている、そういった他の療法をやっている人を医師たちも認めていて連携できている、そんな土台があることに驚きました。
日本では、実際に連携するまでにはまだまだ時間がかかるかもしれませんね。でも世界的な視点から見ると、確実にそちらに進んでいると思います。

『根本的なところでは完全に通じ合うんです』(成松)

私が思うに、根本的なところでは完全に通じ合うんです。急性期は別としても、慢性期の医療は、患者さんが病から解放されて、その人の幸せな人生を歩めるように必要なことを必要なだけするというのが目的ではないかと思うんです。そういうお話をすると、ホメオパシーを全然知らない医療関係の方、医師や看護師の方たちも「そうそう、そうだよね!」と、完全に同意できるんです。
患者さんにとって必要なことをするというのは、もちろんホメオパシーだけではないし、現代医学も、食生活のことも、他のいろんな療法もあると思います。いくらクライアントさんに「ホメオパシーだけで」と望まれても、どうしても手術を受けなければその人は良くないと判断して手術をお勧めしたこともあります。病院で手術を受けてきていただいて、その後のフォローをしてうまくいくということもありますし。
根本的なところでは完全に通じ合うと思っているので、しがらみというかいろんなものを取っ払ったところで、一緒にできれば素晴らしいと思っていますし、徐々に理解が広まっていけばいいなと思っています。

7)薬剤師の本分とはなんでしょうか

『医師と患者の橋渡しもできるのが薬剤師』(五鬼上)

大きなお題ですよね。本分かどうかはわからないんですが、私が薬剤師の仕事をしていた時一番大事にしていたことは、そのお薬がどういう働きをしているものなのかを患者さんにわかっていただくことです。
だからもちろん副作用についてはきちんと伝える必要があるし、その時の対処の仕方などをアドバイスすること、あとは他のお薬を飲んでいる場合に、一緒に飲んでも大丈夫なのかのチェックをすること。それを100%フォローすることはなかなか難しいんですけれども、薬の併用による害を避けることは、薬剤師しかできないと思ってやっていたことですね。
あとは最近強く思うようになったのは、医師と患者ってコミュニケーションが意外に取れていないということです。薬局に処方箋を持ってくる患者さんと話をしていると、医師に言いたいことが伝わっていないということに気がつくことが増えてきて、それを直接医師に伝えることもあるし、患者さんにもどういう風に医師にお話をすればいいかというアドバイスをしたり、橋渡し的なことが薬剤師という立場なら出来るなって感じるようになりました。
ホメオパシーを学び始めてからいっそうそれが強くなったかなあと。ただ薬を渡しているだけだと患者さんもあまり話してくれないんですけど、きちんと話を聴けるようになると向こうからどんどん話をしてくれて、医師に対する不安とか不信感なども出てくるようになるので、そこを取り払うように間に立てるのは、薬剤師だからかなって思いますね。

『処方されている全ての薬剤の全体像と患者さんの全体像をマッチさせることができる』(徳武)

私は今、「メーカーの規定量とか医者の指示してくる量をきっちりきっちり飲ませることばかりが薬剤師の仕事ではない!」とすごく思っていて。というのは添付文書の規定用量が万人に合うわけはないので。体質や年齢、併用薬の影響、疾患の特性などなど、1人として同じではないわけですよ。1mgでいい人もいれば5mgが必要な人もいる。
それなのに"添付文書には5mgが普通と書いてあるので、みんな5mg"は変ですよね?
お年寄りは特に、小児と同じくらい注意してないと薬剤の用量が多すぎて体調を崩している場合がありますね。多くは、年齢のせいとか、気のせいにされてしまうのですが、ちゃんと患者さんと話をしていれば薬剤のせいだと解ります。
だから薬剤師の本分としては「薬剤の性質を理解して、できるだけ副作用を少なく、効果が最も出るような量を考えて提案できる」っていうことがまず一つですね。
そして「患者さんの状態を知ったうえで最適な薬を選択できる」っていうのが二つ目ですね。例えば、腰痛もちで糖尿、高血圧、胃も痛くて・・となると、気がつくと十種類も処方されている。この場合に薬剤10種の全体像をみる必要と、患者さんの全体像(仕事・食事の状態・ストレス度・環境・・・など)を見る必要があります。
薬剤は3種以上になるとどんな相互作用があるかわからない。そして併用禁忌や注意になっていなくても眠気などの副作用が重なっている場合もある。そもそも十種類も飲んでいるから胃が痛くなるんじゃないかとか、ボーっとしている時間が長いのではないかとか、1つ1つの薬剤の副作用にこだわるのではなく、もっと薬剤の組み合わせを全体としてみる必要があります。
患者さんの全体としては、体格や食生活、活動度・・・農作業をバリバリやっている人と、寝たきりの人とでは全然違うんで、そういうこと全部見ていける、そのうえでどんな薬が必要なのか、場合によってはこの薬剤で体調崩しているのではないかって言わなきゃいけないと思うんですね。それができるのは薬剤師の本分かなって今思っているんですけど。
10種も薬剤出てるけど、そもそもこの人は何から始まったんだろう?と薬歴をひっくり返してみると、最初は血圧の薬しか飲んでいなかったりします。。そこでなぜ途中で薬剤が増えているのか自分なりに考えたり、患者さんとお話をしながら探っていくという作業は結局、ホメオパシーで患者さんを観ていくときと同じなので重なってくると思いますね。

『患者さんを薬の害から守る最後の砦』(成松)

私も同じことだと思うんですけど、「薬剤師ってなんだろう」とすごく考えた時に出た結論は今も変わっていなくて、「患者さんを薬の害から守る最後の砦」が薬剤師ではないかと。
処方箋に文句をつけられる唯一の職業ですよね。「これ変ですよ、多いんじゃないですか」とか、処方箋に口を出せる唯一の職業。薬の知識を専門的につけてきて、何とかその知識を総動員して、この人にこの処方でいいんだろうかということを考える。それが薬剤師の存在意義ではないかと。それと、ホメオパシーをやることとは私の中では全然矛盾していなくて。

『マテリアメディカはエビデンスの塊』(成松)

ちょっと話が逸れるかもしれないですけど、私が薬剤師になった頃は、Evidence based medicine というのが盛んに言われ始めたころで、ちゃんと証拠に基づいた医療でなければいけないんだということで、薬の効果が調査し直されて、けっこう削除される薬があったんです。「この薬は効果がないことがわかったので削除されます」という薬が次々となくなっていった時でした。
それでも、よくわからないけどこういう状態の人にこの薬が効くから使っているという薬も結構あって、他に代わる薬もないし、分からないけど確かに効くということで経験的に使われている薬もまだ結構あると思うんですけど、その点、ホメオパシーは全部エビデンスに基づいたものなんですよね。
マテリアメディカはエビデンスの塊じゃないですか。(一同うなずく)
Evidence based medicine という考えからいってもホメオパシーはすごいなと思うんです。まさにエビデンスに基づいていて、それしかないんですよね。だから薬剤師の本分というものを持ちながらも、ホメオパシーってすごく矛盾なくできて良いなあと思っています。

8)ホメオパシーを学んでから薬剤師としての意識は何か変わりましたか?

『相手の話を聴かないとちゃんと説明ができなくなっている自分がいた』(五鬼上)

自分では意識したことはあまりないんですが、3年生になった頃に気づいたんです。患者さんが最近すごく話しかけてくるようになったなあって。自分ではやっていることは全然変わってないつもりだったんです。でも、わたしの顔を見ると来て、「あなたに話したいの」っていう患者さんが増えた(笑)。なんでかなあって思ったときに、相手の方のことをきちんと知りたいという気持ちが出てきていて、それは個人的な興味ではなく、お薬を渡すにあたって、相手の話を聴かないとちゃんと説明ができなくなっている自分がいたんです。一方的に出しているときは、誰にでも同じ言い方をしていたと思うんですが、相手の話を聴くとその人に合った説明や、その人に必要な情報を出せるようになって、それが患者さんからみてわかるようになったんじゃないかと思うんです。この人はちゃんと自分の聞きたいことに答えてくれるという風になってきたのが、学校に入って3年目ぐらいで、患者さんが、「奥さんが昨日こういうゴハン作ってくれてね」とか、そんな話までしてくるようになって、ただ患者さんと私が慣れただけじゃなくて、何かが違ってきたんだろうと思いますね。意識して自分が変えたということはないんですけど。

『患者さん目線で薬剤を考えるようになった』(徳武)

学校を卒業してからは特に、患者さんと話すときに 、「どういう食生活をしてるの?」とか「今、仕事はどんな感じですか?」とか、薬剤のことばかりじゃなく、患者さんの生活状況も聞くようになりました。そうすると患者さんも、「そういえばあの薬を飲んでからこういう風になっちゃったんだけど」と話の途中で気軽に言うようになってくれて。以前は患者さんからすると、上から目線でバーッて説明されて、お金を払って帰る場所だったのが、今たぶん同じ土俵に立てていると思うんです。それが一つ変わったのと・・・
この人は何が原因で悪くなっているのか、本当に病気が進行して具合が悪くなってるのか、そうじゃなくて薬剤が増えたからおかしくなっているのかと考えるようになりましたね。すると、この薬剤は減らすとか中止したほうがいいんじゃないの?と処方が見えるようになってきて。今は医師あてに報告書を作って、減量か中止を考えてもらうっていうことに力を入れています。それを書いてもスルーされちゃう時もあるし、ちゃんと考慮して減らしてくれることもあるんですが、そこに気がついてあげられるのが薬剤師なのかなあと思いますね。
今更なんですけど十年以上働いてきて、気づいたんですよ!薬剤自体はまあ悪くないと思いますが、さじ加減が問題なんです。本来、薬剤を患者さんに合わせて、いかに加減して使いこなすかっていうことは一番大事なんですけども・・・今は医師も薬剤師も添付文書にこだわったり、メーカーが勧めてくることを鵜呑みにしてしまう傾向が強いので、いかにそこを崩して患者さん目線で薬剤を考えていけるか?ですね。仕事に対する意識は本当に変わりました。
そういう風になれたのは、ホメオパシーの学校に入ったおかげかなって思います。

成松:「全体を見る」ということができるようになってきたということでしょうか?全体を見て、その人にとって何がいいのかと。

徳武:そうですね。患者さんの全体、仕事とか食生活・体質・環境とかを見るようになったのと、薬剤の組み合わせの全体を見るようになりました。。この2つをマッチさせていく必要がありますね。
それと、長く患者さんを見ていて、これはやっぱり薬剤では限界があるな・・と感じる方の場合は、「病院の治療も必要ですが、他のアプローチで可能性があるかもしれませんよ」とお話して東洋医学系の医院を紹介したり、痛みや痺れの場合には鍼治療をお勧めしたりもしています。
もっと医療のトータルアドバイザー的な仕事を薬剤師がしてもいいんじゃないのかなって思っているんですね。その場面でも今後ホメオパシーが果たす役割というのは、ますます広がる気がします。

『「北風と太陽」の太陽。その人の太陽をお渡しすることができる仕事。』(成松)

私は、今はホメオパシー1本にしぼっているからかもしれないですけど、すごくはっきりすっきりしてきた感じで、薬剤師の本分に何の矛盾もなく、本当にやりたいことができているなあと思います。
よくホメオパシーは『北風と太陽』の太陽に例えられますよね。北風は一生懸命に風を吹き付けて旅人のマントを引きはがそうとするけど旅人はマントをしっかりと着込んでしまうばかりで、太陽にポカポカと温められて暖かくなることで自らマントを脱ぐというお話しで、「ホメオパシーは太陽のようなものですよ」というお話を私もよくするんです。
マントはその人の病で、必要があるからマントを着込んでいるんです。それを外から無理やりはがそうとしてもはがれないわけで、よけい着込んでしまう。
太陽によって、こんなに着込まなくてもいいんだと自ら気づいてマントを手放すことが出来る。
ホメオパスは、その人の太陽をお渡しすることができる仕事だと思っています。
今は薬剤師免許を使うことはしていないんですけれども、たくさんの人にたくさんの薬をお渡ししていた頃とは全然違って、その人の"太陽"を1つ選んでお渡しできるというのは、本当に幸せでやりがいのある仕事だなあと思っています。

(2014年1月26日 安曇野)