学長ブログ

ホメオパシーの歴史と現在、将来の展望

2024-09-07

ホメオパシーの発展

それ以降、ホメオパシーは非常に発展したんです。なぜ発展したかって言うと、ものすごく良く治ったからなんですね。当時なかなか治らなかったいろんな病気が治りました。また、有名になったのはナポレオンが遠征した時に、コレラが大流行したんですね。でその時にホメオパシーの治療を受けたけど亡くなった患者さん、またホメオパシーでない普通の治療を受けて亡くなった患者さんを比べて見ますと、もうホメオパシーを受けた患者さんはそれまでの医療と比べて1割くらいしか亡くならなかったんです。これで非常に有名になりまして、フランスではそれ以降ずっと今日まで非常に信頼されている治療法なんです。

 

イギリスでも

また、イギリスでも1853年にやはりコレラが大流行しまして、イギリス全土で少なくとも数百万人は亡くなったといわれているんですけども、その時もこのホメオパシーは大活躍したんです。これは統計に残っている数字ですけども、その時にホメオパシーの病院で亡くなったコレラの患者さんはだいたい17%、で普通の病院で亡くなった人は53%だったんです。3分の1以下だったわけですね。そのようにしてホメオパシーはすばらしい療法として、どんどんヨーロッパ、アメリカで広まっていったんです。

 

現在の状況は?

でも現在日本ではほとんどホメオパシーという療法は知られていないですね。だんだん知られ始めたところですけども、なぜ現在知られていないのか。そんなすばらしい療法だったら誰だって知ったってよさそうなもんだ。この情報社会で、知らないなんてのは絶対おかしいと。なんかインチキなんじゃないのかと思うのが普通だと思います。

 

19世紀アメリカ

実際にどのようなことが起こったかと申しますと、だいたい1910年くらいまでアメリカではホメオパシーは流行というか、非常に栄えたんです。と同時に新しい医療として出てきましたから、それまでの医療の人たちは非常に危機感を感じたんです。で、いろんなことがありました。あまり政治的な弾圧だとかそんな話をしますと、まるで「都市伝説」のようで、眉唾のようで詳しくは申しませんが、たとえば現在のアメリカの医師会はどのような目的で作られたかというと、はっきりとアメリカの医師会の憲章に書いてあるんですね。「ホメオパシーを排除する」と。これが医師会ができた最初の目的だったんです。そのくらい非常に危機感を感じた。それができたのがだいたい百年ちょっと前、1860年か70年くらいにアメリカの医師会はそういう目的で出来たんですけども、まあそれはともかくとしまして、ホメオパシーは大流行しまして、アメリカの医師の3分の1くらいはホメオパシーの医師だった時代があります。全米にだいたい60くらいのホメオパシーの医科大学があったんです。

 

現代医学の進歩

その後、20世紀に入りまして、それまで瀉血が中心だった医学というものもずいぶんと変わっていったわけです。たとえばパスツールという人がいて、いろんな病原菌というのがどんどん発見されましたよね。そうしますと、大変解かりやすいわけです。病気というのは病原菌という悪いやつがいて、その悪いやつが悪いことをするから起こるんだと。まあ非常にシンプルで解かりやすいですよね。で、またそれ以降、いろんな医療のテクノロジーが発達して、それから抗生物質。これができた時には魔法の弾丸として、とてももてはやされた。もうこれであらゆる病気が治るんじゃないかと期待が持たれたわけですけども、残念ながらなかなかそうはならなかったわけですが。ともかくも普通の医学というものも瀉血だけではない、方法がいろいろ進化しましたので、普通の医学もどんどん発展して、ホメオパシーはだんだん影に追いやられていったわけですね。ホメオパシーには何の進歩もないように見えた。普通の医学の方はテクノロジーの進化とともにすばらしい発展をしていくように見えたということもあって、ホメオパシーは一時衰退しました。

 

代替医療

しかしながら、この数十年というもの、あれほど輝いて見えた現代医学というものもだんだん翳りが見えてきたわけですね。残念ながらあんなに華々しくすばらしく見えた現代医学のほうも、治る、一応治ったように見えるのは、感染症というか、いわゆる特定の病原菌というものがあって、それに対して抗生物質とか、対抗するものがあるものに限られる。いわゆる普通の慢性病っていうのは現代医学のほうでもですね、本当に治るっていう事はどうもなかなか無い。いろんな副作用というものはあっても、いろんな投薬をしましてもですね、一時しのぎになったりとか、また違う病気になったりとか、結局根本的なところで治るっていう事はないっていうのが一般の間にも、また医師の側にも広がってきたんですね。医師の側にも無力感といいますか、自分がやってることって何なんだろうと考える人が増えてきたわけです。ですからそういうことも含めて、全体的にいわゆる代替医療といわれるものですとか、まあイギリスでは代替医療という言い方はあまりせずに補完医療という言い方をいたしますけども、そのようなものが少し伸びてきた。そういうことも相まってホメオパシーも20年、30年くらい前からだんだん復活してきました。今日では、ヨーロッパ、アメリカにおいて、ホメオパシーの伸びっていうのは非常にめざましいものがあります。まだまだ主流は現代医学が占めておりますけども、一般の人たちのいろんな要求と申しますか、現代医学ではなくこんな薬ではなくて、もっとすばらしいものに出会いたいという要求が増えてきたこともあって、アメリカ、ヨーロッパでは今、非常に変わりつつあります。

 

日本の今後

日本では、まだ今からですけれども、本も最近少しずつ出版されるようになってきて、私も今年はちょっと間に合いそうも無いですが、帯津先生との対談も出版される予定ですし、(この本は出版社が対談の本は売れにくいという判断もあり、私の単独本で「ホメオパシー入門」として春秋社から出版されました)またいろんな本も書いていく予定です。松本丈二先生の「ホメオパシー医学への招待」など良い本も最近出てきて、非常に将来楽しみだと思っているんですけども、まあホメオパシーはどんどんと伸びてきています。

 

現代医学とホメオパシー

対立?

ただしこれは現代医学を忌避するとかそういうことではなくてですね。ホメオパシーを広めようとする時に「現代医学は敵だ」みたいなことを言うと解かり易いので、そういう言い方をする人も多いかもしれませんけども、いろんな問題も現代医学にはありますけど、ほとんどのお医者さんは非常に良心的で、なんとか良い方法はないかと一生懸命やっていることは事実であって、現代医学の良い所、現代医学は特に救急医療というのは大変すばらしいものを持っています。救急医療は、一時的に身体機能が失われた時に直ちに最低限の補完をして通常の状態に回復するようにするものなので、そのままホメオパシーと言っても過言ではないのですが、ただ慢性病に対して緊急医療的なやり方をやり続けるのは無理がありますので、抗生物質を投与し続けるというのは非常に問題があります。現代医学の医師の方もそこに気が付いている方は少なくないのはとても嬉しいところですし、いずれは変わっていくと期待しています。

 

将来

将来的にはホメオパシーと現代医学は分かれて対立的にあるんではなくて、もっと高度なレベルで統合したものになって行きたいと思っておりますけども、高度なレベルで統合というのは、単なる「寄せ集め」ではない、まるで初めから一つであったような「統合」なのですが、最初の出発としましてはホメオパシーの正しい考え方を広めていきながら、徐々に粘り強く本当の総合的な医療になっていけばいいなと思っております。

今日はここまでにしましょう。次回はそもそも病とは何か? 病気、症状の関係性は? という根本的な話になります。

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