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ホメオパシーとは

ホメオパシーとは何か

ホメオパシーとは何か01

ホメオパシーはドイツの医師サミュエル・ハーネマンにより、「道理にのみ基づいた真の医療」として19世紀初めに打ち立てられました。マラリアの特効薬(キナの皮)を健康な人がのむとマラリアそっくりの症状を起こすことに大きなヒントを得て、「似た病が似た病を治す」という原理に立脚した医療です。

ギリシャ語のhomoios(似たもの)とpatheia(病・苦しみ)とを組み合わせてホメオパシーと名づけました。精密に定義すると、「健康な人に投与して、ある病の症状を起こせるものは、その病の症状を持つ人を治すことができる」という原理です。

ホメオパシーでは、その人本来の健康な状態が乱れて不調和に陥っている状態を、病気と考えます。その不調和は、症状として、余すところなく表現されています。ホメオパシーで行うことは、心身のさまざまな症状を全体的にみていくこと。そして、症状の全体像に最も似ているレメディーによって、自己治癒力を目覚めさせ、 ご自身の力で本来の健康に戻ることを助けてくれます。

そのため、ホメオパシーにおいて、病名というのは意味がありません。何の病気にかかっているかではなく、その方がどんな方なのか、どんな痛みがあり、どんなものの考え方をし、どんな時に調子が悪くなり、どんな人生を歩んできたのか。人の心と身体、症状を分けて考えるのではなく、その人ならではの「まるごと全体」をありのまま受け止めてゆくのです。

苦しみの理由、意義を全うすることによって本質的な解決を為し、心身全体が幸せの方向に向かうことを助けてくれるArt of Healing(癒しのわざ)、それがホメオパシーです。

ホメオパシーとは何か02

レメディーとは

レメディーとは

ホメオパシーで使用する薬のことをレメディーといいます。レメディーは、自然界にあるさまざまなものからからつくられます。例えば、カモミールやヒナギク、トリカブトなどの植物、ミツバチやヘビ毒、犬のミルクなどの動物や動物由来のもの、硫黄や金、プラチナなどの鉱物など、約3000?4000種類あるともいわれています。

原材料には、作用が強く、原料のまま取ると毒になるものもありますが、天文学的にまで薄められているので、一般的な副作用や薬害はありません。赤ちゃんやお子さまから、妊娠中・授乳中の方、お年寄りまで、幅広く安心してお使いいただけます。

レメディーは、原材料物質をアルコールにつけたり、ショ糖とまぜ合わせ、希釈(薄めること)と振とう(激しく振ること)を繰り返して、もとの溶液を天文学的数値にまで薄めてつくります。どれくらい薄めて振ったのかを表す単位を、「ポーテンシー」といいます。最も一般的なポーテンシーがCで、これは1 : 100、100倍に希釈して振とうする、という意味です。例えば、セルフケアキットで使用する30Cというポーテンシーのレメディーは、100倍希釈を30回繰り返したもので、10の60乗倍の薄さということになります。

その薄さは、海にスポイトで1滴落とすくらいの濃度であると言われるほどです。つまり、レメディーを調べても原材料物質は分子レベルでも存在しません。また、レメディーは薄めれば薄めるほど効果が高くなるという性質がありますが、なぜ「薄めても効く」のかは、現段階の科学では解明されていません。ホメオパシーの治療では、その人の状態に応じて、このポーテンシーと投与回数・間隔を調節しながら、レメディーを処方します。こうして最終的に得られた溶液を小さな砂糖粒にしみこませてレメディーは出来上がります。

レメディーはヨーロッパなどにある専門のホメオパシー製薬会社で作られています。ショ糖や乳糖(ラクトース)にレメディーの原液をしみこませた形が一般的で、舌下で自然に溶かして服用します。

病とは何か

病とは何か

そもそも病とは何でしょうか。病は英語でdis-easeと書きます。disは名詞の前に付くと「奪う」「除く」「剥ぐ」という意味になります。easeは安楽・安寧を意味しますので、安楽さが奪われた状態を意味します。つまり、人間本来の状態は安楽な状態ですが、何らかの事情によってその状態を奪われた状態が病である、ということです。

ホメオパシーではその安楽な状態を奪うものをdisturbance(攪乱・障害)と呼びます。何かが生じて、一時的に適応してdis-ease的状態になりますが、それが解消されると本来のeaseに戻ります。

ここで大切なのは、病はもともと健全健康な反応から始まるということです。健康は「病の生みの親」であって、別々の対立的な概念ではありません。どのような病も健全な適応から始まります。適応すべき時に一時的に適応しているだけなら健全な反応ですが、次第に固定化して元に戻らない状態。それを「病」と呼んでいるわけです。

たとえば30階の窓から子供が身を乗り出して落ちそうになっているとします。その時あわてずにゆったり安楽にしていることが健康なことでしょうか?明らかにそうではありません。落ちたら大変だとあわてて駆けよる。その時にeaseが一時的に奪われることは、健全健康な反応で、どこにも「病的」な要素はありません。その時にまるで無関心であるかのように「安楽」でいるならば、それこそ深刻な病です。健康だからこそ、その状態に適応してどきどきします。

しかしもはやその状態ではなくなっていても、あたかもその状態が続いているかのように適応し続けているとします。それをホメオパシーでは delusion「その人が真実だと思い込んでいる世界観、即ち妄想」と呼びますが、 高いビルを見るだけで顔面蒼白になり絶叫するとします。その光景だけを見ると、誰が見ても病気としか思えません。もはや適応する必要が無い時にも固定化し結晶化してしまった時、「病気」と呼ぶようになるのです。 単に心理的なことだけではなく、身体的な生理反応の場合も実は全く同じです。

病について最も重要でありながら、最も知られていない「秘密」は、たとえどのような症状に表現されていても、その姿は、disturbanceに最大限に適応しようと懸命の努力をしたvital force(生命力)の尊い「自己犠牲の結晶」だということです。

その気高い自己犠牲をせざるをえなくなった事情・物語を最も理解し、限りない共感と慰めをもってその「無念の想い」を溶解し、成仏させてくれるもの、それが「最も似た物語を持つもの」即ちレメディなのです。

ホメオパシーのArts and Science

ホメオパシーの素晴らしいところはたくさんありますが、ひときわ優れている点は、無意味な原因探しをする必要がなく、なおかつ原因に直接働きかけることが出来る、という点です。

病の原因がたとえ何であったとしても、全ては症状という現象にありのまま余すところ無く現れていますので、 現れである症状の全体像を精密に見て全体像に最も類似したレメディーを投与することによって、根本的な治癒を実現することが出来るのです。

Organon第一章 脚注
(注)医師本来の使命は、体内で起きている目に見えない生命の営みと病気の発生という内的な本性について、いたずらに空想したり仮説をいわゆる学説へと作り上げたりすることではない。

Organon第七章
治療に適したレメディを病気が要求し指示できるのは、必然的に唯一、症状を通じてのみなのである。

ホメオパシーの理論とマテリア・メディカは実証に基づいたscienceであり、それらを統合する実践はartです。 「現象として現われていない『隠れた本質』など存在しない」というテーゼを掲げたフランス実存主義より150前に、ハーネマンは既にこのテーゼを素晴らしいartにまで高めていました。似た症状を創り出せるということは、似た本質を持つということです。最も似た症状を創り出せるレメディーによって、病の本質に直接働きかける、という驚くべきartです。

しかし、だからこそ現われている現象をありのまま知覚する能力を注意深く徹底的に磨き上げられなければならないのです。ハーネマンは小論Medical Observerの中で、このように記しています。

「ものごとを精確に観る能力は、決して生まれつき備わっている能力ではない。訓練をして我々の感覚や知覚を磨く以外にはない。言い換えれば、我々が外界の対象を見た時にすぐに持ってしまう第一印象を無批判に信じてしまうのではなく、厳しく吟味し続ける訓練によってのみ獲得されるものである。判断をする時には冷静かつ穏やかに、そして断固とした確信を持つ必要もありながらも、常に自分の理解力に対して油断せず健全な疑いを手放さないようにせねばならない。(中略) この能力を獲得する訓練として、ギリシャ・ローマの最上の書物を熟読することは大変役に立つ。」

ホメオパシーでは正に「鳥肌が立つ」思いをすることがよくあります。そのような時、beauty of homeopathy(ホメオパシーの美)という表現がしばしば使われます。

数あるホメオパシーの美の中でも極め付きが、 「現在の病の状態を創りだした原因そのものがホメオパスによってそのまま幸福の原因に転換する」というartです。

単に以前の自分に戻るのではなく、より成長した、より本当の自分に近づいてゆくのです。その時disturbanceはもはや「病因」「障害」などではなく、「成長の糧」「幸福の源泉」に変容します。つまり、人も、病も、因果でさえもすべて「成仏」するのです。

ここには水も漏らさぬ完璧な因果があり、完璧なscienceでもあるのです。

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