学長ブログ
子供への処方(2)ナットムール、フォスフォラス
2024-09-10
さて、極めて重要なレメディーをご紹介しましょう。もちろんどのレメディーもとても重要なのですが、このレメディーは特に極め付きとも言えます。
Nat-mur(ナトムール)
ホメオパシーで重要なのは、どういう「レベル」で治癒が起こるのか? ということです。症状にはさまざまありますが、表面的症状だけの軽減でしたら、表面的類似の症状を起こせるレメディーも、それなりに助けになる場合が多いです。しかし今回の塩のレメディーの症状像に本格的に当てはまるところが大きい場合でしたら、表面的な症状を遥かに超えた、人生を根本的に変容させるような大きな変化が起きるかもしれません。
塩を舐めてみると、塩には塩味だけではなく独特の苦味があるのがお分かりだと思います。「塩漬けにする」という言葉がありますが、このレメディーの中心にあるのは、まさに「思い出を塩漬けにする」ことです。塩漬けにせざるを得ない何らかの事情によって、楽しい思い出も悲しい思い出も、苦さと共に「保存」してしまうのです。そして、その悲しみの記憶は塩漬けにされ、その悲しみ・恨みは長年に亘ってその人を支配します。傷ついた心は、もう二度と傷つきなくないという思いに強く支配されますので、感情が生々しく交わり合うような「裸」の付合いが出来ません。決して自分が傷つくことのない表面的なレベル、即ち「理知的」なレベルの交わりに限定されるようになります。ですから理知的なレベルでは非常に早熟ですが、感情的なレベルは鍛えられる機会が殆どないので、その表面的印象とは反対に、実は未成熟なままにおかれています。自分の周りに厚い壁を作り、自分の生の感情を生の形では決して表現しません。その様子はさながら感情の水(涙)を堰き止めているダムのようです。その堰き止められている感情と、人間の本来の姿には存在しないダムの存在が、さまざまな症状となって表現されます。このレメディーの人は、人前では涙を見せませんが、ホメオパシーではこのような人に起こっている花粉症とは、「目から泣けない代わりに鼻で泣いている」と象徴的にも捉えることもあります。
(その後質問があり、以下はその答えです 一部重複します)
ナトムールは塩ですね。塩というのは舐めると苦いです。苦さというものがこの塩のレメディに非常に関係しています。特徴というのは、中にある心が非常に傷つきやすくて、あまりにも傷つきやすいので自分の周りに壁を作らざるを得ない。そして自分の感情というものをうかつに外に出さない、出せないです。ですから、ちょうどダムができるようなものです。自分の感情をなかなか出さない。例えば塩の横に水を置きますと、塩が水を吸います。水というのは象徴的に言いますと涙といいますか、この涙が、ナトムールの人の心の中にはダムがありますから外に出さないでだんだん溜まっていきます。出さないですんでいるかというと大間違いで、本来人間にはダムなんかないわけです。ですからそのダムがいろんな症状を起こします。このナトムールの人というのは、苦い過去の思い出や納得できない出来事に非常にこだわっていきます。いつまでもこだわっていて、あの時にこうだったらとか、くよくよします。過去の出来事に閉じ込められているような状態になっているわけです。特徴としましては、塩ですから、しょっぱいものをとても好きか、嫌いか、どっちかです。直射日光に弱くて、太陽にさらされるとできものができたりとか、いろんな問題が起こりやすいです。簡単に言いますと、「塩漬けにした悲しみ」というものがナトムールの中心的なテーマというか、エッセンスと考えていただければと思います。そういうものが身体的にも表現されて来るんだということですね。他のレメディもそうなんですが、単にいろんな症状を見るだけではなくて、一番大事なのは、中心にあるテーマというか、中心にあるエネルギーというか、それがいろんな形で身体的に表現されたもの。ですからナトムールの人というのは必ずこのような症状を持っているというのではなくて、このようなエネルギーは、このような症状に表現されやすいというふうに考えてください。
Phosphorus(フォスフォラス)
フォスフォラス。これは燐なんですね。燐というのは燃えますよね。ボワーっとした燃え方をします。あまり輪郭がない、つまり燐の場合、どこからどこまでが火なのかはっきりしない。フォスフォラスの人というのは、他人と自分の間にあまり境がない。他人と自分の間にことさらに境を作る人もいますが、フォスフォラスの人はその逆で、他人と自分の間に境を作らない、開いているわけですね。開いているので、人との愛情の交換、愛情の循環というものをとても必要としているんです。たいていは明るくて外交的な人が多いです。一緒にいてとても楽しい人が多いんです。その代わり自分はどんどん与えるんですけども、人からはそんなに返ってこないのが普通ですので、そうするとだんだんくたびれてきます。ですからフォスフォラスの人は疲れやすい人が多いです。
人に好かれやすいというと、この後のプルサティラというレメディもそうなんですが、同じ明るいといってもどこからその明るさとか優しさが出てくるかというのは、その元のエネルギーが何なのかということによってみんな違うわけです。自分の子供が明るいから、じゃあフォスフォラスkかというと、どんなレメディも明るさは持っているわけです。まったく明るい顔をしたことがない人は誰もいないですよね。みんな明るさを持ってます。みんな悲しみを持っています。さっきナトムールの話をしましたけど、悲しい思いをしたことがない人います?誰もいないですよね。だからといって、じゃあみんなナトムールかというと、そうではないわけです。人に例えると、その人のイメージが固定化してしまうので難しいところがあるんですけどね。
例えば亡くなったダイアナ妃、彼女はフォスフォラスの要素がとても強いです。ダイアナ妃が結婚された後、しばらくたってから「不倫」の噂が立って、ご自分でも「不倫」を認められましたけども、「不倫」といってもいろんな「不倫」があるわけです。ダイアナ妃がフォスフォラスとすれば、フォスフォラスの人はエネルギー交換というものを非常に必要としている。ですから最初にはチャールズ皇太子とのエネルギー交換を求めたわけです。とても理想的な結婚に見えて、全世界に祝福されて、幸せになるかと思われたんですけれども、残念ながらチャールズ皇太子とは、必要とした愛情交換、愛情の循環というものが作れなかったわけです。ですからダイアナ妃は非常に絶望的になって自殺をしようとしたりとか、いろんなことがあったようですけども、結局死ぬことはできない。そうすると生きていくためには他の人との愛情の循環が必要となってくる。ですから「不倫」といえば「不倫」なんですが、あれ以外はダイアナ妃は生きていくことができなかった、もしフォスフォラスとすれば。たいていはフォスフォラスの人というのは、理想的には家族の間にまず愛情の循環があるわけですけども、必ずしも家族の間にエネルギー交換ができない場合もあります。その場合には、家族にはほとんど無関心になって、自分がエネルギー交換をできる人とだけ交流をします。
では次回は6種類の代表的レメディーの最後2つ、プルサティラとサルファー、そして予防接種の話も致します。
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