学長ブログ
子供への処方(3)プルサティラ、サルファー
2024-09-11
さて、代表的レメディー最後の2つです。
Pulsatilla(プルサティラ)
プルサティラというレメディは、西洋おきな草といわれる植物なんですけど、英語ではWind Flowerといわれて、名前のとおり柔軟性があって風にふわふわ揺れる植物なんですね。このプルサティラの主題というか、一番中心にあるのは「見捨てられることへの恐怖」なんです。見捨てられたくない、見捨てられないためには何でもする。ですから、通常はとても人に対して優しいです。なぜかというと、優しいってことは見捨てられないための非常に都合のいい在り方なんです。ですから通常人に優しくて、人に良く合わせます。ですけれども、その奥には見捨てられることへの恐怖があるわけです。
プルサティラの人は非常に病気がちなんです。いろんな形で病気が起こることがとても多いです。いろんな症状が起こりやすいです。それは今言ったテーマと非常に結びつくことなんです。なぜかというと病気になるってことは、ある意味見捨てられないための非常に「都合のいい」在り方ですよね。病気になると人は心配してくれますよね。といってもわざと病気になるということとは全然違います。これは仮病ではない。この人の中に、病気になるっていうことに対しての抵抗が無いわけです。病気になるっていうことは、この人にとっては割りと好ましい方向性なんですよね。だからいろんなことがあったときに、割と簡単に病気になる。その人の存在のあり方がそのような方向性を向いているということなんですね。だから無意識のところで、結果として病気になりやすいんです。
ただプルサティラの人というのは、単にひ弱とか甘えん坊ではないんです。見捨てられることへの恐怖、この恐怖というのは非常に強い感情ですよね。ですから実はプルサティラの人というのは、非常に強いエネルギーを持っています。ぽきっと折れない柔軟な強さを持っています。また、見捨てられることへの恐怖ですから、見捨てられないためには何でもするところもある。極端に言うと見捨てられないためだったら人殺しまでやる。そのように非常に強いエネルギーを持っています。たいていは優しい感じのことが多いですけれども、人によっては、少し難しい言い方をしますと「支配的な形で人に依存する」という人もいます。非常に人に対して威嚇的で命令的なんだけども、「お前は私を見捨てるのか」という悲鳴が、実際にはそこにあって、プルサティラの典型と全く反対に見えるけれども、実はプルサティラであるということもあるので、非常に注意が必要なところです。
反対というのは、実は本当の反対ではなくて、そのグループの中に入るわけなんです。例えば、リコポディウムのところで言いましたけれど、臆病な人というのは大抵、傲慢な形になるんです。自信のある人は傲慢になる必要はないんですが、自信がないとそれをカバーしようとして反対の形をとるんです。ですから、反対のものというのは、実は似たものなんです。人間ていうのは非常に奥深いもので、いろんな反応をするもんですから、本に書いてあるのは原型で、実際はいろんなバリエーションがあるわけです。
プルサティラの人は同情されることを非常に好みます。これに対して、ナトムールは通常、人から同情されることをとても嫌います。なぜかというと「私の悲しみをあなたに解かるわけがない」という思いがあるからです。それから、同情されるっていうのは、屈辱的な感じがあるわけです。だけど逆もまた真なりで、ナトムールの人は同情が絶対嫌かというと本当はそうではなくて、自分の気持ちをわかって欲しい人には、ものすごく同情して欲しい。
Sulphur(サルファー)
さて最後のレメディーサルファー。硫黄です。硫黄というのはどんなところで取れるかというと、火山の近くで取れます。地球の中心地6000度を超す極めて熱いマグマが地下深くから次第に地表に出てきて、地表の裂け目からゆっくりと冷やされて結晶になるんですね。それが硫黄なんですけれども、硫黄というのはもともと熱い。サルファーの人はエネルギッシュで情熱的です。熱いマグマのように情熱を持っています。と同時に、自分の興味が持てること以外は全然興味がもてない。本質的に大事だと思えることだけを大事にします。
だからサルファーの人というのは大抵お風呂が嫌いです。なぜかというと、お風呂はその人の人間の本質に関係ないから(笑)。とてもめんどくさがり屋です。サルファーの人はある意味では無神経に見えるんですが、実際にはとても感受性が強く、いろんなことを鋭敏に感じる能力を持っているんです。非常に繊細なんだけども、それは自分が興味があることだけに向けられる。興味がないものに対しては、神経を使わないという意味で無神経なんです。それから、午前11時くらいに、いろんなエネルギーが悪化したりする。なぜか?お腹が減るからです(笑)。非常にわかりやすい、そういう特徴があります。基本的には健康です。健康上の問題で親を心配させたりすることはあまり無いです。
サルファーはレメディーの王様とも呼ばれます。なぜならありとあらゆる症状に顔を出すからです。あらゆる生き物は単純化すると「食べて出す」なんですね(笑)。食べることがあらゆるエネルギーの源泉です。サルファーは元々熱々のマグマですから、あらゆるエネルギーの源泉的場所に作用します。なので、活力が関係する場所、つまり活力の欠乏によって生じる病のほとんどに密接に関係します。
根本レメディの処方
この6種類というのが基本的なレメディで、いろんなレメディが約5,000種類くらいあるんですけども、便宜的にはどんなレメディもだいたいはこの6種類からの枝分かれのようなものだと考えてください。生まれたときはカルカーブなんです。「あの世」から出てきて「この世」に適応するために必死に努力して生存する、そして着実に成長しようとする。1歳くらいまではカルカーブだと考えてかまわなくて、それからだんだん枝分かれしていって、6つぐらいに分かれる。そこからまた、さらに枝分かれしていくというふうに考えていただければいいと思います。まあすごく乱暴な言い方をしていますけれどね。どんな症状が起きても、根本体質的なレメディが判ったら、そのレメディを飲ませるとたいてい治ります。そして、問題があっても無くても関係なく、1ヶ月に1回くらいその体質的レメディを飲ませると、非常に病気になりにくくなります。正しい意味での予防、つまり備えですね。体が強くなることによって、いろんな病気にかかりにくくなるということなんですね。
明日は予防のお話し、とりわけ予防とは「備えあれば憂いなし」の真逆である、ということがメインです。
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